北海道札幌市を拠点に活動。ゴーメディアCEO兼ウェブコンサルタント。ウェブ制作・SEO対策・広告運用まで広くこなしている。わからないことはお気軽にご質問ください。
SEO観点での「キーワードリサーチ」と聞くと、多くの人がこのように考えていると思います。
- 「サジェストキーワードを網羅すれば良い」
- 「検索ボリュームが大きいものを書けば良い」
しかしながら、本当の意味で成果を出すキーワードリサーチとは、ビジネスのゴールから逆算して対策キーワードをどのように扱っていくか決める必要があり、非常に緻密な技術が要求されます。
センスの良い人ならこの記事で紹介するプロセスを踏まなくても成功している事例もあるかもしれません。私のようにクライアントに対してSEOの方向性を説明する義務があるような立場の人間は、ロジカルにキーワードリサーチを行い、費用対効果を説明する必要があります。
この記事では再現性があり、ロジカルなキーワードリサーチの手順を包み隠さず解説していきます。
記事を最後まで読むことで以下の考え方が理解できるようになります。
- キーワードリストの集め方
- カテゴリ設計
- 検索意図の調べ方
「プライマリキーワード」の決定
最初のステップである「プライマリキーワードの決定」とは分かりやすく一言で表すと、「最も重要なキーワードの決定」です。
ビジネスを象徴するようなキーワードをシンプルに考えてください。
以下に簡単な例を記載します。
- 旅行代理店なら「旅行」「国内旅行」など
- 不動産会社なら「不動産 札幌」「賃貸 札幌」など
- パーソナルトレーナーなら「パーソナルトレーニング」など
こればっかりは、ビジネスのゴールから逆算をし、自分で考えるしかありません。
自分のビジネスを象徴的に表す最も大きい単位のキーワードをプライマリキーワードに設定しましょう。
別の言い方をすれば、SEOの最終的なゴールとも言えるでしょう。
驚くことに、このプライマリキーワードを設定していない(というか考えたことも無い)人がとても多いです。そのため、SEOの方向性が定まらずに悩んでいる人が多くなっています。
プライマリキーワードは「今どこへ向かってSEO対策をしているのか」という指針となり、この後のキーワードリサーチにも深く関わってくる重要なものとなります。
「関連キーワード」の洗い出し
プライマリキーワードは多くの場合、検索意図が曖昧なキーワードとなるでしょう。
例えば、「旅行」というビッグキーワードの場合は、”旅行先を考えているのか、国内なのか海外なのか、ツアーを予約したいのか…”のように曖昧です。
曖昧なキーワードの中にどのようなニーズや関連キーワードが分布しているのかをリサーチするプロセスがこのステップとなります。具体的な方法を解説していきます。
方法#1:サジェストキーワード(オートコンプリート)を使って関連キーワードを探す方法
Googleの検索窓にプライマリキーワードを入力すると、検索候補が表示されます。
この検索候補は「オートコンプリート」と呼ばれ、検索需要があるだろうとGoogleが判断したキーワードとなるので、ニーズの分析には大いに役立ちます。
検索窓ではリサーチの効率が悪いので、無料で公開されているツールを利用すると良いでしょう。
キーワードサジェストツール
方法#2:Googleキーワードプランナーを使って関連キーワードを探す方法
オートコンプリートのサジェストキーワードだけでは広がりが無い場合は、Google広告のキーワードプランナーも活用できます。
Google検索広告のキーワードリサーチツールで、検索のサジェストキーワードよりも広い解釈で類語や関連ワードを探すことが可能です。
同時に月間平均検索回数も取得可能なので、キーワードの検索ボリュームの調査に使われることもあります。無料で利用可能ですが、Google広告を利用していないと一部機能に制限が掛かります。
方法#3:Googleトレンドを使って関連キーワードを探す方法
Googleトレンドはキーワードの相対的な人気度を指定の時間軸で調査することができます。
トレンドや季節性のあるクエリを扱う際には参考にしたいツールです。
関連キーワードの表示もされ、サジェストキーワードやキーワードプランナーとは違ったキーワードリストを得られることもあります。
ちなみにWeb検索だけではなく、YouTubeの検索もリサーチ可能なことはあまり知られていません。
さて、ここまで作業すればプライマリキーワードを軸としたキーワード群が揃ったはずです。
材料は揃ったので次のステップへ進みましょう。
「カテゴリ設計」を行う
集めたキーワードリストだけでは何の価値もありません。
全てのキーワードを一つずつ検索意図を洗い出していきます。この時、マインドマップの形式やスプレッドシートなどを使うと便利です。
書き方に決まりなどありません。重要なのは検索意図がどのように分布しているかを知ることです。
私は視覚的に分かりやすいマインドマップを使うことが多いです(使用ツールはXMIND)。
曖昧なキーワードの「土地活用」が実際にどのような検索ニーズを含んでいるか見えてきたでしょうか。
検索意図を把握する一番の方法は実際にブラウザで検索してみることです。
検索結果が100%ユーザーニーズを反映させているとは言いませんが、それでもある程度ユーザーニーズが反映されていると考えておいて良いでしょう。
ここで、検索意図のまとまりについて着目してください。検索意図の分布を眺めていると、ある検索意図のまとまりを見つけることができます。
先程の例であれば、「土地の活用方法に悩んでいる」「依頼する会社を探している」「駐車場経営に興味がある」ような検索意図のグループがあります(資格取得に関するニーズは大きくペルソナから外れるので除外した)。
検索意図のまとまりを「カテゴリ」としてサイトに反映させることで、ユーザーは最適な情報を探しやすいだけでなく、クローラーもサイト構造を理解しやすくなります。加えて、重複コンテンツ(キーワードのカニバリゼーション)も防止できます。
このように、カテゴリを設計する際にもキーワードリサーチをヒントにすることで、SEOに強いサイト設計ができるようになります。
これでコンテンツSEOの設計図は完成しましたね。
「記事設計」を行う
上記で作り上げたコンテンツSEOの設計図を用いることで、意図を持ってコンテンツを考案できます。少なくとも都度思いつきでコンテンツを作るようなことは避けられるでしょう。
記事設計でやるべきこと、考えるべきことは主に以下です。
- 検索者の意図をにあったタイトルとアウトラインを作成
- 網羅するか深堀りするかを考える
- 隠れた本当のニーズを読み取る
検索者の意図をにあったタイトルとアウトラインを作成
必ず記事ごとにSEO対策をしたいメインキーワードを1つ決め、記事のタイトルを考えていきます。タイトルには原則、キーワードを含めるようにします。
タイトルが決まったら記事を書き始めるのではなく、まず記事のアウトラインから考えていきます。
GoogleドキュメントやWordなどのエディタに、アウトライン(目次)を作成していくことで、SEOに必要なトピックを網羅しつつ、脱線しないコンテンツにしやすくなります。
網羅するか深堀りするかを考える
検索意図のリサーチから、クエリの方向性を定めます。
方向性というのは「広く浅くの網羅型記事」なのか「狭く深くの深堀り型記事」なのかです。
SEOの初心者やレベルの低いSEO会社にありがちな記事設計として、どんなクエリにも長文網羅記事を当て込もうとすることです。
検索者が求めているコンテンツの「型」をしっかりと把握するようにしましょう。
また、以下の図のように網羅記事と深堀記事で内部リンクすることでユーザーの利便性が向上することもあります。
よくあるコンテンツの型の例
網羅記事 | おすすめ◯選、ベスト◯選、一覧 など |
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深堀り記事 | ユーザーの知りたいことが明確な記事 など |
検索者によって答えが変わる記事 | 体験談に基づく記事、おすすめ紹介記事 など |
検索者によって答えが変わらない記事 | 事実だけの記事、用語解説、翻訳 など |
隠れた本当のニーズを読み取る
検索意図をサジェストキーワードに沿って網羅するだけでも70点くらいのコンテンツSEOができます。
しかしながら、レッドオーシャンのクエリで上位化を目指す場合、サジェストキーワードの網羅だけでは不十分です。
データだけでは見えてこない潜在的なニーズを先回りしてコンテンツを提供することで、ユーザーに利益のある記事となり、結果的に検索結果でも上位表示されやすくなります。
リサーチデータだけでは差別化が難しいので必ずオリジナル要素も加えましょう。
最終的な考え
コンテンツSEOにおけるキーワードリサーチの手順を再度おさらいします。
- プライマリキーワードの決定
- 関連キーワードの洗い出し
- カテゴリ設計
- 記事設計
毎回思いつきでトピック決めてコンテンツを作っていると、どこかのタイミングでSEOの方向性を見失ってしまいます。
SEOの改善点を素早く見つけるためにも設計に基づいたサイト運営をおすすめします。